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さてさて、やっと第二曲の『ホークストウ農園』に話しを進めます。
心が洗われるような荘厳で美しいメロディーですが、副題の『守銭奴とその召使い:地方の悲劇』が気になります。原曲の歌詞は以下のような内容です。
守銭奴とは、ノースリンカンシャーにあるホークストウ農園の農園主、ジョン・ボウリンのことで、誰もが知っている街の名士です。召使いとは、そのジョン・ボウリンの馬車を操る御者のスティールアイ・スパン爺さんのことです。
二人は街に市場が立つ日に喧嘩をしました。最初はスパン爺さんがジョン・ボウリンの黒い杖で襲い掛かりますが、結局、逆上したジョン・ボウリンがスパン爺さんを床に倒してしまいます。
スパン爺さんはジョン・ボウリン対する憎しみいっぱい、いつかきっと命をかけてでもジョンに復讐することだろう。ジョン・ボウリンの業績はホークストウ農園いつまでも忘れられないが、スパン爺さんはホントに気の毒だよな。スパン爺さんはホントに気の毒だよな。と街の人々が歌ったのでした。
如何でしょうか? 曲の荘厳さとはおよそかけ離れた歌詞の内容にびっくりしました。ただし、同じタイトルで、同じ様な内容の歌詞なのに『花束』に収められた原曲とは、全く違うメロディー歌われているバージョンもあります。
1970年に結成されたイギリスのフォークロック・バンドのスティーライ・スパン(Steeleye Span)のバンド名は、この『ホークストウ農園』の中で歌われているスパン爺さんの名前そのものなのです。
名も無き人々が、英雄や偉人ばかりではなく、年老いた哀れな下僕のことを民謡に歌い込み、そして、その爺さんの名前を取ったバンドが今でも活躍しているなんて、チョッといい話しだと思いました。
YouTubeにそのバンドが歌ったこの曲があったので貼っておきます。グレインジャーが使った原曲よりも哀愁に満ちたメロディーですし、なんと実際のスティーライ・スパン爺さんだけでなく、喧嘩で使った杖や農園の看板などがヴィジュアルに見ることができて、とても興味深いです。
http://youtu.be/gUBnWfLiHjc